僕のSAVE THE NOON その1

僕は、ただのギタリストです。
ギターを弾けない人ではなく少し弾けるというだけの、凡人です。

10年前、
僕は途方に暮れていました。

音楽の専門学校を出たからといって就職先があるわけもなく、
うまくバンド仲間も作れず、
かといって音楽をやるという野心を持って田舎から飛び出した手前、
安定したサラリーマン生活に身をうずめる覚悟もできず、
めしを食うためにバイトに明け暮れる毎日でした。


そんな凡人が、企画バンドで、DAWN(現在のNOON)に出演します。
とてもふざけたバンドでした。笑
カルメラではありません。

しかし、そのバンドで出会ったひでやくんがきっかけで、
カルメラの前身バンドに誘われます。
そこでゴウシくんと出会い、
二人でカルメラを作ることになります。


すぐにメンバーが集まる訳もなく、
木曜の夜は二人であんな曲作りたいと作曲という飲み会が行われました。
ほぼただの飲み会でした。

しかしながら、かっこいい音楽を教わる時間でした。
ゴウシくんが言ってたのは、sunaga t experienceこと須永辰緒さんのクールな楽曲達でした。



その頃の僕は、便利屋のバイトで、早朝から引越しやらごみ収集やら企業の手伝いやらと、肉体労働でクタクタでした。
稀にあるライブより、相棒の原チャZOOMERでふらふらする方が身近な幸せでした。
とっても地味なバンド活動でした。


ある日、NOONで須永辰緒さんのイベントにAKIKOさんも出演するということで、
バンドメンバーでこぞって見に行きました。
クリスマススペシャルだったかな。
あれはWORLD STANDARD WESTというイベントでした。
僕にとってNOONは、憧れのアーティストが出る場所でした。。



そして年明けて3月、メンバーの入れ替わりや、資金難を乗り越え、デモ音源が出来上がります。
しかしもちろん自主制作のためCDショップには並びません。

また時は流れて10月。。くらいだったかな。

ネットでDJの岡野さんから連絡が来ます。
曲が気に入ったからイベントに出て欲しいと。
喜んで受けました。

そのイベントの後、岡野さんからの紹介でDJ兼オーガナイザーの櫻井さんと知り合います。
そこで再び、NOONで行われているWORLD STANDARD WESTというイベントと出会います。

そしてその頃、東京でのWORLD STANDARDで出演権を得られるオーディションに、デモ音源を送っていました。
須永さんはそれを聴いてくださっていました。


タイミングが重なった。
年明け、僕らはNOONでのイベント、WORLD STANDARD WESTに出ることになります。



冒頭の企画バンドから5,6年でしょうか、
僕がカッコイイと思ってきた音楽を提示している人達が出演する場所NOONで、
二ヶ月に一度、僕たちが演奏をすることになります。


しかしそれは、刺激と苦悩の始まりでした。

毎回、カバー曲を持っていった時期もありました。
アレンジはどうだ、
ステージングはどうだ、
いいや、やっぱり技術が足りない。
自分たちなりに、随分と色々練りました。

しかしステージからは、照明の暗さによりお客さんの反応がわからないのです。苦笑


わからないならフロアで直接話をするしか無い！


フライヤーをポケットに忍ばせて、
踊っている陽気なお客さんとか、椅子に座って踊り疲れた女の子(美女多め)に声をかけていきました。

とりあえず一言二言でいい。
とにかく次回も出演するよという告知をすることで、次はフロアに人を増やしたいと思いました。
定期的に出ているからこそ、次回は早い時間に出演している僕らを見てくれるかもしれないと思ったんですね。

つまらない営業トークをしたり、
馬鹿になってダンスしたり、
時には人生相談まで。

意外と話は弾むものです。
そしていつの間にか、僕は陽気でナンパなキャラを習得しました。笑

フロアにいる常連さんとは、回を重ねるごとに仲良くさせてもらえるようになりました。


顔を知ってて、
話したことがあって、
一緒にお酒を飲んで、
好きな音楽で一緒に踊れる。

職業を知っているよりも、
年齢を知ってるよりも、
学歴を語るよりも、
思想や宗教観よりも、

人として仲良くなるには必要なことに感じました。


それからはNOONの他のイベントにも、ちょくちょく行くようにしました。
WORLD STANDARDとバンドの予定が合わなくなってカルメラの出演回数が減っても、
僕の体が開いている日は遊びに行きました。

NOONでしか会えないお世話になった人たちと友だちがいるのです。
NOONは、僕の人生を好転する刺激を与えてくれる場所です。


その２へ続く。